盤上沒我の「仙人」、カド番でも動ぜず めざすは世界 井山裕太名人

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大出公二
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 第46期囲碁名人戦で連覇を達成した井山裕太(32)。周囲は最近、彼を「仙人」と呼び始めた。勝っても負けても挙措動作は平素と変わらず、心の動きが見てとれない。今回の七番勝負はカド番に追い込まれながら、淡々と盤に向かった。「自分さえしっかりしていれば」。己への絶対の信頼を支えに、彼は勝った。

 2008年、19歳の名人挑戦から先達の張栩(41)ら「平成四天王」に挑み続け、次々にタイトルを奪った。天下を取って、追われる側になった。戦闘正面は後進の一力遼(24)、芝野虎丸(21)、許家元(23)の「令和三羽ガラス」に代わり、ひたひたと差を詰められていた。

 今年は3棋戦続けてカド番に立たされた。夏の本因坊戦七番勝負は芝野に1勝3敗から、続く碁聖戦五番勝負は一力に1勝2敗から、そして今期名人戦七番勝負は同じく一力に2勝3敗から逆転で制した。

 ぎりぎりのスコアなのに、シリーズ中はこちらが拍子抜けするほど平靜だった。カド番の心境を聞くたびに、苦笑しつつ同じせりふを繰り返した。「何度も経験しているんで。目の前の一局にベストを盡くすだけ」

 2016、17年、2度にわ…

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