メカブを「ぺたんこ」に冷凍、保存?解凍お手軽に 気仙沼の企業

星乃勇介
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 ぺたんこメカブでおなかもぺたんこ――? 東日本大震災で工場が全壊し、再建を果たした宮城県気仙沼市の老舗加工業者が、メカブを板狀に冷凍した新商品「10秒de(で)おいしいめかぶ」を売り出す。冷凍庫の隙間に入り、解凍も簡単、包裝のプラスチックも減らせる「一石三鳥」。腸活で腳光を浴びる三陸の地場グルメを、多くの人に屆けたいと意気込む。

 作ったのは創業40年の「丸繁商店」。目の前の海から揚がるメカブを職人が海水で釜ゆでする昔ながらのやり方を守り、しゃっきり、うまみたっぷりが自慢だ。

 新商品を思いついたのは専務の小野寺薫さん(40)。仙臺で建築の仕事をしていたが、震災の2年後にUターンし、父親が興した丸繁商店に入った。メカブの「健康効果」については、よく知らなかった。ところが食べ付けると體調がよく、びっくりするほどお通じの具合が良い。調べると水溶性食物繊維が豊富で、腸活にはもってこいだ。「もっと多くの方に食べて欲しい」と思うようになった。

 ただ、自社も含めて市販品はたいてい四角いパックに入っている。常備菜として冷凍庫に入れると場所を取り、解凍にも時間がかかってすぐには食べられない。小野寺さんは解決法を考え始めた。

 2020年の暮れ。「薄くしてみたら」とひらめいた。前職の建築業で使う斷熱材がヒントになった。さっそく試作開始。とけ方にムラが出ないよう、厚さを均一にするのに苦労したが、最終的に縦23センチ、橫10センチ、厚さ5ミリの板狀に落ち著いた。

 袋のまま、蛇口から出る42~43度のぬるま湯に當てると10秒ほどで軟らかくなる。水でも約1分。気溫にもよるが、食卓の準備の前に冷凍庫の外に出しておけば、食べる頃には大體とけている。コロンブスの卵だ。いける、となった。

 新商品は1枚40グラムで、パック入りと量は一緒。皿に出さなくても済むよう、袋の中でタレとまぜられるように工夫した。外裝は紙でプラごみの削減を図った。袋も長期保存可能な素材を使い、食品ロスの削減を狙った。3枚入りで、希望小売価格は稅別228円。年內の販売開始を目指す。

 コロナ禍を受け、同社は店頭販売と併せ、通販も強化している。薄くしたことで同じ送料でも、1回で送れる量が増えた。山梨県の健康食品會社「萬成酵素」の商品と組み合わせてネットでテスト販売したところ、初期の売り上げ目標を4日間で達成した。

 10年半前の震災の津波で、工場は全壊し、小野寺さんの家も流された。復活を果たした矢先のコロナ禍だが、「三陸の海のおいしさを伝えたい。気仙沼は『海と生きる』まち。海洋プラスチック問題に気を配って商品作りに勵みたい」と意欲的だ。

 薄くするアイデアは特許申請中。認められれば「気仙沼発祥」の一つになる。問い合わせは丸繁商店(0226?23?4941)。(星乃勇介)